2020年8月7日現在、依然として、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置については継続されています。また、現在、よく企業からも現在外国にいる外国人を日本に呼んで就労させたいが入国制限はどうなっているのかという相談もよく受けます。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置(8月7日現在)について語ります。
※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。
1.日本への上陸拒否制限について
(1)上陸拒否の原則
入管法第5条1項14号に基づき、以下①、②、③に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしています。
① 日本上陸前14日以内に以下の地域に滞在歴のある者
アジア
インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、モルディブ
オーストラリア、ニュージーランド
北米
カナダ、米国
アルゼンチン、アンティグア・バーブーダ、ウルグアイ、エクアドル、エルサルバドル、ガイアナ、キューバ、グアテマラ、グレナダ、コスタリカ、コロンビア、ジャマイカ、スリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、チリ、ドミニカ共和国、ドミニカ国、ニカラグア、ハイチ、パナマ、バハマ、パラグアイ、バルバドス、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、ホンジュラス、メキシコ
欧州
アイスランド、アイルランド、アゼルバイジャン、アルバニア、アルメニア、アンドラ、イタリア、英国、ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、オーストリア、オランダ、カザフスタン、北マケドニア、キプロス、ギリシャ、キルギス、クロアチア、コソボ、サンマリノ、ジョージア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、タジキスタン、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベラルーシ、ベルギー、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、マルタ、モナコ、モルドバ、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク、 ロシア
中東
アフガニスタン、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラク、イラン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、 トルコ、バーレーン、パレスチナ、レバノン
アフリカ
アルジェリア、エジプト、エスワティニ、ガーナ、カーボベルデ、ガボン、カメルーン、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、コモロ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コートジボワール、サントメ・プリンシペ、シエラレオネ、ジブチ、 スーダン、赤道ギニア、セネガル、ソマリア、中央アフリカ、ナミビア、ボツワナ、マダガスカル、南アフリカ、モーリタニア、モロッコ、モーリシャス、リビア、リベリア
③香港発船舶ウエステルダム号に乗船していた外国人
(2)上陸拒否の例外
上陸拒否対象国・地域からの入国であっても、以下の例外①、②、③、④にあたり、特段の事情がある場合には上陸をすることができます。
ア 例外①:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は定住者の在留資格を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人の配偶者又は日本人の子を含む。)が再入国する場合
上記外国人が再入国する場合は、以下のとおり、再入国許可により出国した日及び滞在歴のある地域により、特段の事情の有無が判断されます。
※9月1日以降の「永住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「定住者」を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人・永住者の配偶者又は日本人・永住者の子を含む。)の再入国に際しては、居住国に所在する日本国大使館/総領事館において「再入国関連書類提出確認書」の発給を受けるとともに、出国72時間前から日本入国までに取得した新型コロナウイルスに「陰性」であることの「検査証明」の提示が必要となります。ただし、日本での上陸申請日前14日以内にバングラデシュ、パキスタン、フィリピン及びペルーに滞在歴がある場合は、先行して8月7日以降から必要となります。
(ア)4月2日までに再入国許可により出国した場合
- 原則として、特段の事情があるものとされます。
(イ)4月3日から4月28日までの間に再入国許可により出国した場合
- 上陸拒否の対象地域のうち、4月29日から追加された以下の14か国、5月16日から追加された以下の13か国、5月27日から追加された以下の11か国、7月1日から追加された以下の18か国又は7月24日から新たに追加された以下の17か国・地域に滞在歴があっても、原則として、特段の事情があるものとされます。
(4月29日から追加された14か国)
アラブ首長国連邦、アンティグア・バーブーダ、ウクライナ、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ジブチ、セントクリストファー・ネービス、ドミニカ共和国、バルバドス、ベラルーシ、ペルー、ロシア
(5月16日から新たに追加された13か国)
アゼルバイジャン、ウルグアイ、カザフスタン、カーボベルデ、ガボン、ギニアビサウ、コロンビア、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア、バハマ、ホンジュラス、メキシコ、モルディブ
アルジェリア、イラク、エスワティニ、ガイアナ、カメルーン、キューバ、グアテマラ、グレナダ、コスタリカ、ジャマイカ、ジョージア、セネガル、セントビンセント及びグレナディーン諸島、中央アフリカ、ニカラグア、ハイチ、モーリタニア、レバノン
ウズベキスタン、ケニア、コモロ、コンゴ共和国、シエラレオネ、スーダン、スリナム、ソマリア、ナミビア、ネパール、パラグアイ、パレスチナ、ベネズエラ、ボツワナ、マダガスカル、リビア、リベリア
- その他の上陸拒否対象地域(上記2. 記載以外の73か国・地域)にも滞在歴があるときは、原則として、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
(ウ)4月29日から5月15日までの間に再入国許可により出国した場合
- 上陸拒否の対象地域のうち、上記の5月16日から追加された13か国、5月27日から追加された11か国、7月1日から追加された18か国又は7月24日から新たに追加された17か国・地域に滞在歴があっても、原則として、特段の事情があるものとされます。
- その他の上陸拒否対象地域(上記73か国・地域及び4月29日から追加された14か国)にも滞在歴があるときは、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
(エ)5月16日から5月26日までの間に再入国許可により出国した場合
- 上陸拒否の対象地域のうち、上記の5月27日から追加された11か国、7月1日から追加された18か国又は7月24日から新たに追加された17か国・地域に滞在歴があっても、原則として、特段の事情があるものとされます。
- その他の上陸拒否対象地域(上記87か国・地域及び5月16日から追加された13か国)にも滞在歴があるときは、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
(オ)5月27日から6月30日までの間に再入国許可により出国した場合
- 上陸拒否の対象地域のうち、上記の7月1日から追加された18か国又は7月24日から新たに追加された17か国・地域に滞在歴があっても、原則として、特段の事情があるものとされます。
その他の上陸拒否対象地域(上記100か国・地域及び5月27日から追加された11か国)にも滞在歴があるときは、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
(カ)7月1日から7月23日までの間に再入国許可により出国した場合
- 上陸拒否の対象地域のうち、上記の7月24日から新たに追加された17か国・地域に滞在歴があっても、原則として、特段の事情があるものとされます。
その他の上陸拒否対象地域(上記111か国・地域及び7月1日から追加された18か国)にも滞在歴があるときは、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
(キ)7月24日以降に再入国許可により出国した場合
原則として、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
イ 例外②:例外①(「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」及び「永住者の配偶者等」)以外の在留資格を持つ外国人の場合
2020年8月5日より、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)を条件に、現在出国中の再入国許可保持者(入国拒否対象地域指定前日までに当該地域に再入国許可(みなし再入国許可を含む)をもって出国した者に限る)は、特段の事情がありとして、再入国することができます。
特段の事情の有無の判断は、「ア 例外①:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は定住者の在留資格を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人の配偶者又は日本人の子を含む。)が再入国する場合」と同様に、再入国許可により出国した日及び滞在歴のある地域により、特段の事情の有無が判断されます。
ウ 例外③:「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」を利用する場合
「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」に沿って上陸申請する外国人については、特段の事情があるものとして上陸を許可されます。
「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」とは、一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置(空港でのPCR 検査、14日間の公共交通機関不使用および自宅等(検疫所長が指定する場所)待機)を維持した上で、追加的な防疫措置を条件とする仕組みを試行することとしたものです。
感染状況が落ち着いている国・地域を対象として協議・調整を開始しています(現時点で、ベトナム、タイ、豪州、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾)
7月29日からタイ・ベトナムについては、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ、双方向の往来を再開する「レジデンストラック」の受付を開始しています。
現状は、対象国・地域の国籍を有し、当該対象国・地域に居住する者であって、日本と当該対象国・地域の間の直行便(午前着便の利用が原則)を利用する者が対象となっています。
エ 例外④:個別の事情に応じて特段の事情が認められる場合
特に人道上配慮すべき事情があるときなどは、個別の事情に応じて特段の事情があるものとして再入国・入国を許可されます。。個別の事情に応じて特段の事情があるものとして再入国等を許可することのある具体的な事例は下記のとおり、法務省HPにより公開されています。
※個別の事情に関しては、日本への入国の際空港で書類で証明する必要があり、下記具体例に該当すれば基本的には特段の事情が認められますが、必ず上陸許可されるものではなく、具体的には日本入国の際の空港での審査で決定されます。
※「特段の事情」があるとされ、入国・再入国が認められる場合についても、9月1日以降の入国・再入国については、感染拡大防止等の観点から、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得(再入国者のみ)、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)が必要となる点に注意が必要です。ただし、日本での上陸申請日前14日以内にバングラデシュ、パキスタン、フィリピン及びペルーに滞在歴がある方は、2020年8月7日以降の再入国から上記防疫措置が必要となります。
(ア) 滞在先の国・地域が上陸拒否の対象地域となる前に当該地域に再入国許可により出国した外国人
○ 日本に家族が滞在しており,家族が分離された状態にある。
○ 日本で保護者と共に生活し,日本の教育機関に在籍していた子が,保護者に同 伴して出国したため,通学できない状況にある(同伴する保護者を含む。)。
○ 日本で初等中等教育を受けていた児童・生徒が,引き続き同一の教育機関で初 等中等教育を受けるために再入国する必要がある。
○ 日本の医療機関での手術等の治療(その再検査を含む。)や出産のために,日 本に再入国する必要がある。
○ 外国に居住する重篤な状態にある親族を見舞うため又は死亡した親族の葬儀に 参列するために出国する必要があった。
○ 外国の医療機関で手術等の治療(その再検査を含む。)や出産のために出国する必要があった。
○ 外国の裁判所から証人等として出頭の要請を受け,出国する必要があった。
(イ)滞在先の国・地域が上陸拒否の対象地域となった後に当該地域に再入国許可により出国した外国人(今後,本邦から当該国・地域に出国しようとする場合を含む。)
○ 外国に居住する重篤な状態にある親族を見舞うため又は死亡した親族の葬儀に参列するために出国する必要があった。
○ 外国の医療機関での手術等の治療(その再検査を含む。)や出産のために出国する必要があった。
○ 外国の裁判所から証人等として出頭の要請を受け,出国する必要があった。
○ 日本で初等中等教育を受けている児童・生徒が,母国等での入学試験の受験等, 進学に必要な手続を行うために出国する必要があり,その後卒業に向け引き続き 日本の同一の教育機関で初等中等教育を受けるために再入国する必要がある(同伴する保護者を含む。)。
(ウ) 新規入国する外国人
○ 日本人・永住者の配偶者又は子
〇 定住者の配偶者又は子で,日本に家族が滞在しており,家族が分離された状態にある。
2.在留資格を有する外国人の再入国における必要な手続・書類等について
在留資格を有する外国人の再入国に際しては、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得(再入国者のみ)、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)として、下記2点の書類が必要となります。
①居住国に所在する日本国大使館/総領事館において「再入国関連書類提出確認書」の発給を受けるとともに、
②出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明
(1)出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明についての詳細
※原則は、外務省HPに公表されているhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078393.docx
フォーマット(Word)を使用して現地医療機関が記入し、医師が署名又は押印したもの
※検査証明は、日本に到着後、原本又はその写しを、入国審査官に対し、再入国関連書類提出確認書とともに提出します。
※お住まいの国で、無症状の方への検査を行わない方針をとっている場合には、検査結果を入手できる国・地域に一旦赴き、そこで出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のPCR検査証明を取得が必要となります。
※上記所定のフォーマットによる検査証明発行に対応する医療機関がない場合には、下記のような任意の様式でも可能だが、審査に時間がかかることがあることがあります。
ただし、任意の様式の場合は、所定フォーマットと同内容が記載されていることが必要で、具体的には、下記全項目が英語で記載されたものに限ります。
①人定事項(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)、
②COVID-19の検査証明内容(検査手法(所定のフォーマットに記載されている採取検体、検査法に限る)、検査結果、検体接種日時、検査結果決定年月日、検査証明交付年月日)、
③医療機関等の情報(医療機関名(又は医師名)、医療機関住所、医療機関印影(又は医師の署名))
(2)「再入国関連書類提出確認書」についての手続き
「再入国関連必要書類提出確認書」については、現在住んでいる国に所在する日本の在外公館において、以下の書類を持参の上、交付申請をすることができます。申請受付は2020年7月29日より開始されています。なお、手数料はかかりません。
(注)確認書は申請日には発給されないため注意が必要です。
<持参必要書類>
①旅券(有効な再入国許可(みなし再入国許可を含む)が貼付されているもの)
③交付申請書(PDF)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078392.pdf
上記のとおり、現在は、ほとんどの国が上陸拒否とされており、現在日本から出国すると基本的には上陸拒否に該当することになるので、日本にいる在留カードを持つ外国人の方は、日本に再入国できなくなるのを防ぐため、海外への出国は控えたほうがいいかと思います。
※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。