入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

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新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置について(2020年10月1日現在)-日本への入国制限緩和

  2020年10月1日現在、依然として、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置については継続されており、日本への入国拒否を行う対象地域は、合計で 159 か国・地域となっています。

 日本政府は、9月25日の新型コロナウイルス対策本部において、原則、全世界を対象に入国制限措置を緩和し、ビジネス関係者に加え、医療や教育の関係者、それに留学生など、中長期の在留資格を持つ外国人には、日本への新規の入国を順次、認める方針を決定しました。

 そして、10月1日から、特段の事情がない限り上陸拒否という原則は継続しつつも、「全ての国・地域のビジネス上必要な人材、留学、家族滞在等の在留資格の者について、防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件に入国を認める」という特段の事情が認められる例外的な場合を増設した形で入国制限緩和が開始されました。

 

 今回は、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置(10月1日現在)について語ります。

 

※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。

  

.日本への上陸拒否制限について

(1)上陸拒否の原則

 入管法第5条1項14号に基づき、以下①、②、③に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしています。

① 日本上陸前14日以内に以下の地域に滞在歴のある者

 アジア

インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、ネパール、パキスタンバングラデシュ、フィリピン、ブータンブルネイベトナム、マレーシア、モルディブ

大洋州

オーストラリア、ニュージーランド

北米

カナダ、米国

中南米

アルゼンチン、アンティグア・バーブーダウルグアイエクアドルエルサルバドルガイアナキューバグアテマラグレナダコスタリカ、コロンビア、ジャマイカスリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、チリ、ドミニカ共和国ドミニカ国トリニダード・トバゴニカラグア、ハイチ、パナマバハマパラグアイ、バルバドス、ブラジル、ベネズエラベリーズ、ペルー、ボリビアホンジュラス、メキシコ

欧州

アイスランドアイルランドアゼルバイジャンアルバニアアルメニアアンドラ、イタリア、英国、ウクライナウズベキスタンエストニアオーストリア、オランダ、カザフスタン北マケドニアキプロスギリシャキルギスクロアチアコソボサンマリノジョージア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキアスロベニアセルビアタジキスタンチェコデンマーク、ドイツ、ノルウェーバチカンハンガリーフィンランド、フランス、ブルガリアベラルーシ、ベルギー、ポーランドボスニア・ヘルツェゴビナポルトガル、マルタ、モナコモルドバモンテネグロラトビアリトアニアリヒテンシュタインルーマニアルクセンブルク、 ロシア

中東

アフガニスタンアラブ首長国連邦イスラエルイラク、イラン、オマーンカタールクウェートサウジアラビア、 トルコ、バーレーンパレスチナレバノン

アフリカ

アルジェリア、エジプト、エスワティニ、エチオピア、ガーナ、カーボベルデガボンカメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコモロコンゴ共和国コンゴ民主共和国コートジボワールサントメ・プリンシペザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダン赤道ギニアセネガルソマリア中央アフリカチュニジア、ナイジェリア、ナミビアボツワナマダガスカルマラウイ南アフリカ南スーダンモーリタニア、モロッコモーリシャスリビアリベリアルワンダレソト

 

 ②中国湖北省及び浙江省発行の旅券を所持する中国人

 

③香港発船舶ウエステルダム号に乗船していた外国人

 

(2)上陸拒否の例外

 上陸拒否対象国・地域からの入国であっても、以下の例外①、②、③、④にあたる場合は、特段の事情があるとして日本へ上陸をすることができます。

 なお、防疫上の観点から、入国・再入国に当たっては、原則として、追加的な防疫措置が必要となる点には注意が必要です。具体的には、医療機関において滞在先の国・地域を出国する前72時間以内にCOVID-19(新型コロナウイルス)に関する検査を受けて「陰性」であることを証明する検査証明(検査証明のフォーマット:http://www.moj.go.jp/content/001325705.docx)を取得する必要があることに加えて、下記が必要になります。

  ・新規入国しようとする外国人の場合:入国目的等に応じて、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において査証の発給

 ・8月31日までに再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国した外国人の場合:滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において再入国関連書類提出確認書の交付

・9月1日以降に再入国許可により出国する外国人の場合:出入国在留管理庁において出国前に受理書の交付を受けること

 

ア 例外①:再入国許可を持って再入国する外国人であって、以下のいずれかに該当する者

 ・8月31日までに再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国した外国人であって、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館が交付した再入国関連書類提出確認書を所持する者

 ※現在住んでいる国に所在する日本の在外公館において以下の書類を持参の上、交付申請(手数料はかかりません。)が必要です。確認書は申請日には発給されないのでご注意ください。

  〇旅券(有効な再入国許可(みなし再入国許可を含む)が貼付されているもの)
  〇在留カード
  〇交付申請書(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078392.pdf
  

 ・9月1日以降に再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国した外国人であって、出国前に出入国在留管理庁が交付した受理書を所持する者

 本件措置により再入国を希望する場合は,日本出国前に,追加的な防疫措置に応じる旨を誓約し,出入国在留管理庁から受理書の交付を受ける必要があります。
【対象者】
在留カードの交付を受けて本邦に在留する外国人で,次のいずれかに該当し,上陸拒否の対象地域への渡航を予定している方
〇有効な再入国許可を受けている方
〇有効な旅券と在留カードを所持し,みなし再入国許可による出入国が可能な方
※「外交」又は「公用」の在留資格をお持ちの方は,本件措置の対象外です。

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本邦滞在中の在留資格保持者の再入国手続の流れ(法務省HPより引用)

 

イ 例外②: 新規入国する外国人であって,以下のいずれかに該当する者

 ※入国目的等に応じて、地方出入国在留管理局において、在留資格認定証明書
の交付を受けるとともに、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館におい
て、査証の発給を受ける必要があります。

 ・8月31日までに再入国許可をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されて
いる国・地域に出国した者であって,その国・地域が上陸拒否の対象地域に指
定された後、再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することが
できなかったもの
 ・日本人・永住者の配偶者又は子 

 ・ 定住者の配偶者又は子で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状
態にあるもの
 ・「教育」又は「教授」の在留資格を取得する者で,所属又は所属予定の教育機
関に欠員が生じており、その補充がないと当該教育機関の教育活動の実施が困
難となるなどの事情を解消するために入国の必要があるもの
・「医療」の在留資格を取得する者で,医療体制の充実・強化に資するもの
・10月1日以降に入国する者で,必要な防疫措置を確約できる受入企業・団
体が本邦にあるもの(「外交」又は「公用」の在留資格を取得する者を除く。「短
期滞在」の在留資格を取得する者については短期間の商用を目的として査証を
受けた者に限る。手続の詳細については下記外務省ホームページを参照。)

www.mofa.go.jp

 

ウ 例外③:「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」を利用する場合

「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」に沿って上陸申請する外国人については、特段の事情があるものとして上陸を許可されます。

「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」とは、感染状況が落ち着いてい
る上陸拒否の対象地域を対象として、ビジネス上必要な人材等の出入国を、出国
前検査証明や接触確認アプリのインストール等の追加的な防疫措置を条件に試行
的に実施するものです。

 ・タイ、ベトナム(7月29日から開始)(レジデンストラック)
 ・マレーシア、カンボジアラオスミャンマー、及び台湾(9月8日から開始)(レジデンストラック)
シンガポール(9月18日から開始、レジデンストラックは9月30日から開始)
※上記とは別に、9月25日、日本国政府は、10月1日から、ビジネス上必要な人材等に加え、順次、「留学」、「家族滞在」等のその他の在留資格も対象とし、原則として全ての国・地域からの新規入国を許可することを決定しました(防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件とし、入国者数は限定的な範囲に留める)。この決定による新規入国許可の対象となるのは、当該国・地域に居住する当該国・地域の国籍等を有する方及び第三国籍者です。

 

詳細は、下記外務省HPに記載があります。 

www.mofa.go.jp

 

エ 例外④:個別の事情に応じて特段の事情が認められる場合

 特に人道上配慮すべき事情があるときなどは、個別の事情に応じて特段の事情があるものとして再入国・入国を許可されます。 

※個別の事情に関しては、日本への入国の際空港で書類で証明する必要があり、下記具体例に該当すれば基本的には特段の事情が認められますが、必ず上陸許可されるものではなく、具体的には日本入国の際の空港での審査で決定されます。

※「特段の事情」があるとされ、入国・再入国が認められる場合についても、9月1日以降の入国・再入国については、感染拡大防止等の観点から、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得(再入国者のみ)、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)が必要となる点に注意が必要です。

 

2.出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明についての詳細

※原則は、外務省HPに公表されているフォーマット(

http://www.moj.go.jp/content/001325705.docx

、Word)を使用して現地医療機関が記入し、医師が署名又は押印したもの

※検査証明は、日本に到着後、原本又はその写しを、入国審査官に対し、提出します。

※お住まいの国で、無症状の方への検査を行わない方針をとっている場合には、検査結果を入手できる国・地域に一旦赴き、そこで出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のPCR検査証明を取得が必要となります。

※上記所定のフォーマットによる検査証明発行に対応する医療機関がない場合には、下記のような任意の様式でも可能だが、審査に時間がかかることがあることがあります。

ただし、任意の様式の場合は、所定フォーマットと同内容が記載されていることが必要で、具体的には、下記全項目が英語で記載されたものに限ります。

①人定事項(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)、

②COVID-19の検査証明内容(検査手法(所定のフォーマットに記載されている採取検体、検査法に限る)、検査結果、検体接種日時、検査結果決定年月日、検査証明交付年月日)、

医療機関等の情報(医療機関名(又は医師名)、医療機関住所、医療機関印影(又は医師の署名))

 

※日本に入国・再入国することについての緊急性が高いと認められる場合は,出国前検査証明の取得は必要ありません。この場合,査証又は再入国関連書類提出確認書の申請に当たって、日本国大使館・総領事館において,緊急に日本に入国・再入国する必要がある旨を申し出るとともに緊急性を疎明する書類を提出する必要があります。
 緊急性が高いと認められる具体的な事例には以下のようなものがあります。
○ 日本の医療機関での手術等の治療(その再検査を含む。)や出産のために,緊急に日本に入国・再入国する必要がある。
(疎明する書類の例:緊急に渡航する必要があることを示す医師作成の診断書など)
○ 日本に居住する重篤な状態にある親族を見舞うため又は死亡した親族の葬儀に参列するために,緊急に日本に入国・再入国する必要がある。
(疎明する書類の例:重篤な状態にあることを示す医師作成の診断書,死亡証明書,対象者との親族関係を示す公的文書など)

 

 ※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。