外国人が日本へ入国する際には、空港で入国手続が行われています。
具体的にはどのような審査・手続となっているのかについてまとめます。
1.入管法上の「入国」と「上陸」の区別について
実は、入管法では、「入国」と「上陸」を別個の概念として区別し、この2つについてそれぞれ異なった規制をしています。
外国と国境を陸続きで接する国では、入国とは外国人が国境を越えて領土内に入ることであり、入国とは別に上陸という概念を設定する実益はありません。
一方、周囲を海に囲まれている日本においては、日本の領海や領空内に入ったとしても、日本に上陸することなく領海や領空を通過する外国人も存在することから、「入国」と「上陸」を区別する実益があるためです。
入管法上、「入国」と「上陸」は以下の意味で区別されて使われます。
・「入国」:外国人が国境を越えて日本の領海又は領空内に入ること
・「上陸」:外国人が日本の領土内に入ること
ちなみに、日本人については、帰国の権利が保障されているので、外国人のように「入国」・「上陸」というような区別をすることなく、日本の領域内に入り、かつ上陸することを「帰国」と呼んでいます。
2.外国人の上陸審査について
(1)外国人の上陸審査の概要
日本に上陸しようとする外国人は、原則として法務省令に定められている出入国港において入国審査官の上陸審査を受ける必要があります(入管法6条2項)。上陸審査は、不法入国者、上陸拒否事由該当者等の日本にとって好ましくない外国人の上陸を阻止し、公正な入国管理を行うために実施されます。
そして、上陸審査を受け、上陸許可を許可された外国人は、在留資格と在留期間を決定され、旅券に上陸許可の証印を受けることになります。また、上陸許可によって、中長期在留者となった場合は、空港で在留カードが交付されます(ただし、出入国港によっては、市区町村の窓口で住居地の届け出をした後に交付される場合があります。)。
(2)外国人の上陸許可のための条件
外国人が上陸が許可されるためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
外国人が上陸を許可されるための条件は、入管法7条1項が規定しており、以下の4つの条件を定めています。
①旅券及び査証(査証を必要とする場合)が有効であること
②日本において行う予定であると申請された活動が虚偽のものでなく、在留資格該当性及び上陸許可基準適合性があること
③申請された在留期間が入管法施行規則別表第2に適合すること
④入管法5条1項で定める上陸拒否事由に該当しないこと
また、入管法第6条第3項により、上陸の申請時、外国人(特別永住者等を除く。)には個人識別情報(指紋及び顔写真)の提供が義務付けられています。
なお、再入国許可・みなし再入国許可を受けていて、日本へ再入国をする外国人の上陸審査については、②と③は対象とはならず、①及び④のみが審査の対象となります(入管法7条1項但書)。