入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

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外国人の在留審査手続(更新・変更等)について

 日本に在留する外国人が当初の在留目的とは異なる新たな目的のために在留することや、当初与えられた在留期間を超えて引き続き在留することを希望する場合等には、入管法に基づいて、それぞれ在留審査手続の各種申請を行って許可を受ける必要があります。

 今回は、日本に在留する外国人の在留審査手続の概要についてまとめます。

 

1.日本に在留する外国人の在留審査手続の具体例一覧

日本に在留する外国人の在留審査手続には、具体的に以下のような手続きがあります。

在留資格変更許可申請

 日本に在留する外国人が、在留目的とする活動を変更することを希望する場合は、新たな活動を行う前に在留資格変更許可申請を行い、新たな活動に対応する在留資格への変更の許可を受ける必要があります(入管法第20条)。

 

②在留期間更新許可申請

 日本に在留する外国人が、現に有する在留資格を変更することなく、在留期限到来後も引き続き滞在することを希望する場合には、在留期限までに在留期間更新許可申請を行い、在留期間の更新許可を受ける必要があります(入管法第21条)。

 

③永住許可申請

 「永住者」の在留資格は,他の在留資格で我が国に在留する外国人からの永住許可申請及び出生や日本国籍離脱を理由とした在留資格の取得許可申請に対し、一定の条件を満たすと認められる場合に許可されます(入管法第22条)。

 永住許可に際しては、①素行が善良であること、②独立の生計を営むに足りる資産又は技能があることという要件を満たし、かつ、③その者の永住が日本国の利益に合すると認められることが法律上の要件となっています。ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、①及び②に適合することは不要です。

出入国在留管理庁HPでは、「永住許可に関するガイドライン」が公表されています。 

www.moj.go.jp

 

在留資格取得許可申請

 日本で出生したり、日本国籍を離脱したりして外国籍となった者や、在留資格を要しないとされている日米地位協定第1条に規定する米軍人等でその身分を失った外国人が、当該事由が生じた日から60日を超えて引き続き日本に在留しようとする場合には、当該事由が生じた日から30日以内に、在留資格取得許可申請を行い、在留資格の取得許可を受ける必要があります(入管法第22条の2)

 

⑤再入国許可申請

 日本に在留する外国人が一時的に出国し、再び日本に入国しようとする場合、事前に再入国許可を受けることによって、改めて査証申請等の手続をすることなく、現に有する在留資格及び在留期間のまま出入国することができます(入管法第26条)。
 中長期在留者については、みなし再入国許可制度により、有効な旅券及び在留カードを所持し、出国後1年以内に再入国する場合に(特別永住者については、有効な旅券及び特別永住者証明書を所持し出国後2年以内に再入国する場合)、原則としてあらかじめ再入国の許可を受けることを不要となっています(入管法第26条の2,入管特例法第23条)。ただし、みなし再入国許可の有効期間は、在留期限が出国の日から1年を経過する前に到来する場合には、在留期限までとなります。

 

⑥資格外活動許可申請

 日本において行う活動に応じて定められた在留資格を付与されている外国人は、その在留資格に対応する活動以外の活動で「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」(就労活動)を行う場合には、あらかじめ資格外活動の許可を受ける必要があります。

 例えば、留学生が行うアルバイトが代表的なもので、その活動が本来の在留目的である活動の遂行を阻害しない範囲内で行われると認められるときに限り、資格外活動の許可されます(入管法第19条第2項)。

 

2.日本に在留する外国人の在留審査手続の詳細について

(1)在留資格変更許可申請

・手続対象者:現に有する在留資格の変更を受けようとする外国人(永住者の在留資格への変更を希望する場合を除く)

申請期間:在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:許可の際に収入印紙4,000円

・必要書類等:

 ①申請書

 ②写真 1枚※16歳未満の方は、写真の提出は不要

 ③日本での活動内容に応じた資料  www.moj.go.jp

 ④在留カード提示

 ⑤旅券提示

・審査基準:
 ①申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、出入国管理及び難民認定法別表第一の下欄に掲げる活動又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除く。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があること
②「短期滞在」の在留資格を有する者にあっては、上記に加えてやむを得ない特別の事情に基づくものであること

 

(2)在留期間更新許可申請

・手続対象者:現に有する在留資格の活動を継続しようとする外国人

申請期間:在留期間の満了する日以前(6か月以上の在留期間を有する者にあっては在留期間の満了するおおむね3か月前から)

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:許可の際に収入印紙4,000円

・必要書類等:

 ①申請書

 ②写真 1枚※16歳未満の方は、写真の提出は不要

 ③日本での活動内容に応じた資料 

www.moj.go.jp

 ④在留カード提示

 ⑤旅券提示

・審査基準 :出入国管理及び難民認定法別表第一の下欄に掲げる活動(外交及び公用の項の下欄に掲げる活動を除く。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除く。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があること

 

(3)永住許可申請

・手続対象者:永住者の在留資格に変更を希望する外国人又は出生等により永住者の在留資格の取得を希望する外国人

・申請期間:変更を希望する者にあっては在留期間の満了する日以前。取得を希望する者にあっては出生その他の事由発生後30日以内

 ※注:永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請をすることが必要です。

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:許可の際に収入印紙8,000円

・必要書類等:

 ①申請書

 ②写真 1枚※16歳未満の方は、写真の提出は不要

 ③立証資料  

www.moj.go.jp

 ④在留カード提示

 ⑤旅券提示

 

(4)在留資格取得許可申請

 ・手続対象者: 日本の国籍を離脱した者又は出生その他の事由により上陸の手続を経ることなく日本に在留することとなる外国人で、当該事由が発生した日から60日間を超えて日本に滞在しようとする方

・申請期間:資格の取得の事由が生じた日から30日以内

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:無料

・必要書類等:

 ①申請書

 ②写真 1枚※16歳未満の方は、写真の提出は不要

 ③日本での活動内容に応じた資料 

www.moj.go.jp

 ④在留カード提示

 ⑤旅券提示

・審査基準 : 申請に係る日本において行おうとする活動が虚偽のものでなく,出入国管理及び難民認定法別表第一の下欄に掲げる活動又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除く。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、在留資格の取得を適当と認めるに足りる相当の理由があること

 

(5)再入国許可申請

・手続対象者:日本に在留する外国人で在留期間(在留期間の定めのない者にあっては、我が国に在留し得る期間)の満了の日以前に再び入国する意図をもって出国しようとする外国人
・申請期間:日本を出国する前

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:許可の際に収入印紙3,000円(一回限り)/6,000円(数次)

・必要書類等:

 ①申請書

 ②在留カード提示

 ③旅券提示

・審査基準:

 ①現に収容令書の発付を受けている者でないこと
 ②その他再入国許可することが適当でないと認められる者でないこと

・標準処理期間:当日

 

(6)資格外活動許可申請

・手続対象者:現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする外国人
・申請期間:現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとするとき

・申請先:住居地を管轄する地方出入国在留管理官署

・手数料:無料

・必要書類等:

 ①申請書
 ②当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類
 ③在留カード提示
 ④旅券提示

・審査基準:一般的には、以下の要件のいずれにも適合する場合に資格外活動を行う相当性が認められ、許可されます。
 ① 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。
 ② 現に有する在留資格に係る活動を行っていること。
 ③ 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動(「特定技能」及び「技能実習」を除く。)に該当すること。※注:包括許可については当該要件は求められません。
 ④申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。
  ア 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
  イ 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動
 ⑤ 収容令書の発付又は意見聴取通知書の送達若しくは通知を受けていないこと。
 ⑥ 素行が不良ではないこと。
 ⑦ 本邦の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている者については、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること。