入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

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新型コロナウイルス感染症対策での外国人の日本への入国制限措置について(2021年7月10日現在最新版)

  2021年7月5日、日本において新たな水際対策措置が決定されており、検疫措置の強化や在留資格認定証明書の有効期間の新たな取り扱いも決定されています。

 

 今回は、新型コロナウイルス感染症対策での外国人の日本への入国制限措置(2021年7月10日現在)について、外務省・法務省出入国在留管理庁)で発表されている情報をもとにまとめます。

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新型コロナウイルス感染症の感染拡大に係る上陸拒否措置等

出入国在留管理庁HPより引用)


 ※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。

 

   .日本への上陸拒否制限について

(1)上陸拒否の原則

 入管法第5条1項14号に基づき、日本上陸前14日以内に以下の上陸拒否対象国・地域に滞在歴のある者に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしています。

 ただし、上陸拒否対象地域でない地域から、以下に示す上陸拒否対象地域を給油や乗り継ぎ目的で経由(経由地で入国する場合は除く)した後に日本に到着する場合は、上陸拒否の対象となりません。

 なお、特別永住者の方については、入管法第5条第1項の審査の対象とならないため、上陸が拒否されることはありません。

 

<上陸拒否対象国・地域> 

・アジア:インド、インドネシアカンボジアスリランカ、タイ、ネパール、パキスタンバングラデシュ東ティモール、フィリピン、ブータン、マレーシア、ミャンマーモルディブ、モンゴル

・北米:カナダ、米国

中南米アルゼンチン、アンティグア・バーブーダウルグアイエクアドルエルサルバドルガイアナキューバグアテマラグレナダコスタリカ、コロンビア、ジャマイカスリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島セントルシア、チリ、ドミニカ共和国ドミニカ国トリニダード・トバゴニカラグア、ハイチ、パナマバハマパラグアイ、バルバドス、ブラジル、ベネズエラベリーズ、ペルー、ボリビアホンジュラス、メキシコ

・欧州:アイスランドアイルランドアゼルバイジャンアルバニアアルメニアアンドラ、イタリア、英国、ウクライナウズベキスタンエストニアオーストリア、オランダ、カザフスタン北マケドニアキプロスギリシャキルギスクロアチアコソボサンマリノジョージア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキアスロベニアセルビアタジキスタンチェコデンマーク、ドイツ、ノルウェーバチカンハンガリーフィンランド、フランス、ブルガリアベラルーシ、ベルギー、ポーランドボスニア・ヘルツェゴビナポルトガル、マルタ、モナコモルドバモンテネグロラトビアリトアニアリヒテンシュタインルーマニアルクセンブルク、ロシア

・中東:
アフガニスタンアラブ首長国連邦イスラエルイラク、イラン、オマーンカタールクウェートサウジアラビア、トルコ、バーレーンパレスチナ、ヨルダン、レバノン

・アフリカ:
アルジェリア、エジプト、エスワティニ、エチオピア、ガーナ、カーボベルデガボンカメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコモロコンゴ共和国コンゴ民主共和国コートジボワールサントメ・プリンシペザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダン赤道ギニアセーシェルセネガルソマリア中央アフリカチュニジア、ナイジェリア、ナミビアボツワナマダガスカルマラウイ南アフリカ南スーダンモーリタニア、モロッコモーリシャスリビアリベリアルワンダレソト

 

(2)上陸拒否の例外

 上陸拒否対象国・地域からの入国であっても、以下の例外①、②、③、④にあたる場合は、特段の事情があるとして日本へ上陸をすることができます。

 なお、防疫上の観点から、入国・再入国に当たっては、原則として、医療機関において滞在先の国・地域を出国する前72時間以内にCOVID-19(新型コロナウイルス)に関する検査を受けて「陰性」であることを証明する検査証明(検査証明のフォーマットの詳細:水際対策に係る新たな措置について|厚生労働省)を取得する必要があります。

※出国する前72時間:検体採取から搭乗予定航空便の出発時刻までの時間

※緊急事態宣言の発出に伴う検疫措置の強化により、全ての入国者に対し,出国前検査証明の提出を求めることとした措置について、「当分の間」継続することとなっています。

    

ア 例外①:再入国許可(みなし再入国許可を含む。以下同じ。)をもって再入国する外国人

※上陸の申請日前14日以内にインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュモルディブスリランカアフガニスタンに滞在歴のあるものを除く

 ただし、下記の場合は再入国可能

・上陸の申請日前14日以内にインド、パキスタン又はネパールに滞在歴のある者:令和3年5月13日までに出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する者(これらの在留資格を有しない日本人・永住者の配偶者又は日本人・永住者の子を含む。)

・上陸の申請日前14日以内にバングラデシュ又はモルディブに滞在歴がある者:令和3年5月19日までに出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有するもの(これらの在留資格を有しない日本人・永住者の配偶者又は日本人・永住者の子を含む。)

・上陸申請日前14日以内にスリランカに滞在歴がある者のうち、令和3年5月20日までに出国した「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有するもの(これらの在留資格を有しない日本人・永住者の配偶者又は日本人・永住者の子を含む。)

 

 イ 例外②: 新規入国する外国人であって、以下のいずれかに該当する者

 ※入国目的等に応じて、地方出入国在留管理局において、在留資格認定証明書の交付を受けるとともに、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において、査証の発給を受ける必要があります。

 ・令和2年8月31日までに再入国許可をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国した者であって、その国・地域が上陸拒否の対象地域に指定された後,再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することができなかったもの(上陸の申請日前14日以内にインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュモルディブスリランカ、又はアフガニスタンに滞在歴があるものを除く。)
 ・日本人・永住者の配偶者又は子 

 ・ 定住者の配偶者又は子で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状
態にあるもの
 ・「教育」又は「教授」の在留資格を取得する者で、所属又は所属予定の教育機
関に欠員が生じており、その補充がないと当該教育機関の教育活動の実施が困難となるなどの事情を解消するために入国の必要があるもの
・「医療」の在留資格を取得する者で、医療体制の充実・強化に資するもの

 

ウ 例外③:「外交」又は「公用」の在留資格を有する又は取得する者

 

エ 例外④:個別の事情に応じて特段の事情が認められる場合
・上記のほか、特に人道上配慮すべき事情があるときや、公益性があるときといった、個別の事情に応じて特段の事情が認められるもの

 ※公益性があると認められる場合の具体的事例は以下のとおりです。なお、公益性については、個別事案ごとに、事業の所管省庁の責任の下、関係省庁との協議を経た上でその有無を判断されるため、以下はあくまで一例です。
東京オリンピックパラリンピック競技大会に出場する選手及び大会関係者
・ワクチン開発の技術者

  

 (3)上陸拒否の非対象地域からの外国人の日本への入国について
 上陸拒否の非対象地域からの入国であっても、上陸拒否の非対象地域からの入国と道教全世界を対象に査証発給の制限が行われており、現在、原則として「特段の事情」と同様の事情がある者についてのみ査証発給されています、
※現在、再入国の場合を除き、原則として、入国前に在外公館において査証の取得が必要です。

 

2.出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明についての詳細

※検体採取日時から搭乗便の出発予定時刻までが72時間以内であることが必要です。

※検査証明書の様式は原則として下記厚生労働省HP内のフォーマットを使用する必要があります。

www.mhlw.go.jp

※出国前検査証明(又はその写し)は紙で提出していただく必要があるため、出国前検査証明を電子データで保有している方は、事前に必ず印刷したものを準備をする必要があります。 

 

3.在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて(2021.7.5更新)

 依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が入国手続に影響を及ぼしていることに鑑み、下記のとおり、 在留資格認定証明書の有効期間の更なる延長措置を講じることとなることが出入国在留管理庁より発表されました。

在留資格認定証明書は、交付時点における上陸のための条件への適合性を証明するものであり、有効とみなす期間が過度に長期化することは認定証明書交付時の状況と入国時の状況が異なる可能性が高まるため、下記の新たな取扱い以降、認定証明書の有効期間の更なる延長は行わないことが明示されました。

在留資格認定証明書の有効期間の更なる延長措置>

①対象となる在留資格
 在留資格認定証明書の対象となる全ての在留資格

②対象地域
 全ての国・地域

④有効とみなす期間
・ 作成日が2020年1月1日~2021年7月31日
 → 2022年1月31日まで
・ 作成日が2021年8月1日~2022年1月31日
→ 作成日から「6か月間」有効

⑤有効とみなす条件
 在外公館での査証発給申請時,受入機関等が「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことを記載した文書を提出する場合

→参考様式が下記出入国在留管理庁HPに公表されています。

・参考様式<別表第1の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務,留学等)用>

・参考様式<別表第2の在留資格(例:日本人の配偶者等,定住者等)用>

www.moj.go.jp

※ 査証申請より3か月経過した場合には、改めて上記文書を提出する必要があります。

 

 ※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。