入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

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新型コロナウイルス感染症対策での外国人の日本への入国制限措置について(2022年6月10日現在最新版)

 外国人の新規入国については、原則として全ての国・地域からの新規入国を一時停止し、「特段の事情」がある場合に限り、新規入国を認められています。

 外国人観光客の入国制限の見直しが発表され、2022年6月10日より、日本国内に所在する旅行代理店等の受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、観光目的の短期間の滞在の外国人の新規入国を原則として認めることとなりました。なお、その措置は、「水際対策強化に係る新たな措置(28)」に基づく「青」区分の国・地域から入国する外国人に限定されています。 

 つまり、外国人の新規入国については、原則として全ての国・地域からの新規入国を一時停止し、「特段の事情」がある場合に限り、新規入国を認めることとしているところ、下記①、②又は③の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めることとなりました。
 ①商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国
 ②観光目的の短期間の滞在の新規入国(旅行代理店等を受入責任者とする場合に限る)

 ※「水際対策強化に係る新たな措置(28)」に基づく「青」区分の国・地域から入国する外国人に限定。「青」区分の国については下記厚生労働省HP参照。

www.mhlw.go.jp


 ③長期間の滞在の新規入国

※受入責任者とは:「入国者を雇用又は入国者を事業・興行のために招へいする企業・団体等」のことです。

※旅行代理店等とは:「旅行業法(昭和 27 年法律第 239 号)に規定する旅行業者又は旅行サービス手配業者」のことです。

 

  今回は、新型コロナウイルス感染症対策での外国人の日本への入国制限措置(2022年6月10日現在)について、外務省・法務省出入国在留管理庁)で発表されている情報をもとにまとめます。 

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に係る上陸拒否措置等及び「外国人の新規入国制限の見直し」(概要) 出入国在留管理庁HP(https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf)より引用

※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省出入国在留管理庁)HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。

 

【目次】

 

  .日本への上陸拒否制限について

(1)上陸拒否の原則

 入管法第5条1項14号に基づき、日本上陸前14日以内に以下の上陸拒否対象国・地域に滞在歴のある者に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしています。

 ただし、上陸拒否対象地域でない地域から、以下に示す上陸拒否対象地域を給油や乗り継ぎ目的で経由(経由地で入国する場合は除く)した後に日本に到着する場合は、上陸拒否の対象となりません。

 なお、特別永住者の方については、入管法第5条第1項の審査の対象とならないため、上陸が拒否されることはありません。

 

<上陸拒否対象国・地域> 

中南米グアテマラグレナダ、ジャマイカセントビンセント及びグレナディーン諸島セントルシア、ハイチ
・欧州:アルメニアウクライナエストニアキルギススロバキアブルガリアベラルーシボスニア・ヘルツェゴビナモルドバ、ロシア
・中東 :アフガニスタンイラクパレスチナレバノン
・アフリカ :アルジェリアアンゴラ、エジプト、エスワティニ、エチオピア、ガーナ、ガボンカメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコモロコンゴ共和国コンゴ民主共和国コートジボワールサントメ・プリンシペザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダン赤道ギニアセネガルソマリア中央アフリカ、ナイジェリア、ナミビアマダガスカルマラウイ南アフリカ南スーダンモーリタニアリビアリベリアレソト

(2)上陸拒否の例外

 上陸拒否対象国・地域からの入国であっても、以下の例外①、②、③、④、⑤にあたる場合は、特段の事情があるとして日本へ上陸をすることができます。

 なお、防疫上の観点から、入国・再入国に当たっては、原則として、医療機関において滞在先の国・地域を出国する前72時間以内にCOVID-19(新型コロナウイルス)に関する検査を受けて「陰性」であることを証明する検査証明(検査証明のフォーマットの詳細:日本政府が定めたワクチン|水際対策|厚生労働省)を取得する必要があります。

※出国する前72時間:検体採取から搭乗予定航空便の出発時刻までの時間

 

ア 例外①:再入国許可(みなし再入国許可を含む。以下同じ。)をもって再入国する外国人
 

 イ 例外②: 新規入国する外国人であって、以下のいずれかに該当する者

 ※入国目的等に応じて、地方出入国在留管理局において、在留資格認定証明書の交付を受けるとともに、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において、査証の発給を受ける必要があります。

 ・令和2年8月31日までに再入国許可をもって現在上陸拒否の対象地域に指定されている国・地域に出国した者であって、その国・地域が上陸拒否の対象地域に指定された後、再入国許可の有効期間が満了し、その期間内に再入国することができなかったもの
 ・日本人・永住者の配偶者又は子 

 ・「定住者」の在留資格を取得する者

 ・「家族滞在」又は「特定活動(告示7号、18号、19号、23号、24号、30号、31号、34号、38号、45号、47号)」の在留資格を取得する者

 

ウ 例外③:「外交」又は「公用」の在留資格を取得する者

 

エ 例外④:令和4年5月26日付け水際対策強化に係る新たな措置(29)に基づいて新規入国する者

 日本国内に所在する受入責任者(入国者を雇用又は事業・興行のために招へいする企業・団体等)が、厚生労働省の入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了し、在外公館において査証の発給を受けた場合、商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)若しくは旅行代理店等を受入責任者とする観光目的の短期間の滞在又は長期間の滞在の新規入国が原則として認められます。なお、観光目的の新規入国は令和4年5月20日付け水際対策強化に係る新たな措置(28)に基づく「青」区分の国・地域から入国する外国人に限られます。
 また、令和4年2月24日付け水際対策強化に係る新たな措置(27)により、受付済証と査証の発給を受けている場合も、原則として入国が認められます。

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入国者健康確認システム(ERFS)での受付済証

 制度の詳細及び利用方法については、下記の厚生労働省ホームページ(外国人の新規入国制限の見直しについて)をご参照ください。 

www.mhlw.go.jp

※受入責任者は、入国者健康確認センターに対してERFSのログインID申請および外国人新規入国オンライン申請を第三者に代行させることができますが、行政書士(法人)でない者が有償で申請手続を代行することは、行政書士法に抵触するおそれがあるので、ご注意ください。

 

オ 例外⑤:親族訪問又は知人訪問(親族に準ずる関係が認められる者、訪日の必要性があると認められる者)で「短期滞在」の在留資格を取得する者

 ※日本国内に居住する親族又は知人が、招へい人として、在外公館における査証申請時に防疫措置の遵守を誓約する必要があります。招へい人が知人である場合は、例えば以下の事情がある者については、親族に準ずる関係がある又は訪日の必要性があるとして、入国が認められることがあります。
〇本邦居住者と親族に準ずる以下の関係にある者
・婚約者
事実婚関係
〇訪日の必要性があると認められる者
・結婚式又は葬儀に参列する者
・病気の知人を訪問する者

 

カ 例外⑥:上記のほか、特に人道上配慮すべき事情があるときや、公益性があるときといった、個別の事情に応じて特段の事情が認められるもの

※「特に人道上配慮すべき事情があると認められる場合」については、個別に判断されます。例えば、「生命に関わる病気の治療を受ける者」については、特段の事情があるものとして上陸が許可されることがあります。

 ※公益性があると認められる場合の具体的事例は「ワクチン開発の技術者」です。

 

   (3)上陸拒否の非対象地域からの外国人の日本への入国について

 上陸拒否の非対象地域からの入国であっても、上陸拒否の非対象地域からの入国と道教に全世界を対象に査証発給の制限が行われており、現在、原則として「特段の事情」と同様の事情がある者についてのみ査証発給されています。
※現在、再入国の場合を除き、原則として、入国前に在外公館において査証の取得が必要です。

 

2.出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明についての詳細

※検体採取日時から搭乗便の出発予定時刻までが72時間以内であることが必要です。

※検査証明書の様式は原則として下記厚生労働省HP内のフォーマットを使用する必要があります。

www.mhlw.go.jp

 

3.在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて

 2022年3月1日、依然として新型コロナウイルス感染症の感染拡大が入国手続に影響を及ぼしていることから、下記のとおり、在留資格認定証明書の有効期間の更なる延長措置を講じることが発表されました。

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在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて
 出入国在留管理庁HP(https://www.moj.go.jp/isa/content/930005022.pdf)より引用

 

在留資格認定証明書の有効期間の更なる延長措置>

①対象となる在留資格
 在留資格認定証明書の対象となる全ての在留資格

②対象地域
 全ての国・地域

④有効とみなす期間

・作成日が2020年1月1日~2022年1月31日
 → 2022年7月30日まで
・ 作成日が2022年1月31日~2022年7月31日
 → 作成日から「6か月間」有効 

⑤有効とみなす条件
 在外公館での査証発給申請時,受入機関等が「引き続き、在留資格認定証明書交付申請時の活動内容どおりの受入れが可能である」ことを記載した文書を提出する場合

→参考様式が下記出入国在留管理庁HPに公表されています。

・参考様式<別表第1の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務,留学等)用>

・参考様式<別表第2の在留資格(例:日本人の配偶者等,定住者等)用>

www.moj.go.jp

※ 査証申請より3か月経過した場合には、改めて上記文書を提出する必要があります。

 

 ※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。