入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

入管法に詳しい行政書士が気ままに語ります。

新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置について(2020年9月1日現在)

 

 2020年9月1日現在、依然として、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置については継続されています。2020年8月下旬に、入管法に基づき日本への入国拒否を行う対象地域として、新たに、エチオピアガンビアザンビアジンバブエチュニジアトリニダード・トバゴ、ナイジェリア、ブータンベリーズマラウイ南スーダンルワンダレソトの13か国が追加され、9月1日現在、日本への入国拒否を行う対象地域は、合計で 159 か国・地域となっています。

 ただ、一方で9月1日より、すでに在留カードを持つ外国人の日本への再入国については入国緩和が始まりました。

 

 今回は、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置(9月1日現在)について語ります。

 

※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。

  

.日本への上陸拒否制限について

(1)上陸拒否の原則

入管法第5条1項14号に基づき、以下①、②、③に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸を拒否することとしています。

① 日本上陸前14日以内に以下の地域に滞在歴のある者

 アジア

インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国、ネパール、パキスタンバングラデシュ、フィリピン、ブータンブルネイベトナム、マレーシア、モルディブ

大洋州

オーストラリア、ニュージーランド

北米

カナダ、米国

中南米

アルゼンチン、アンティグア・バーブーダウルグアイエクアドルエルサルバドルガイアナキューバグアテマラグレナダコスタリカ、コロンビア、ジャマイカスリナム、セントクリストファー・ネービス、セントビンセント及びグレナディーン諸島、チリ、ドミニカ共和国ドミニカ国トリニダード・トバゴニカラグア、ハイチ、パナマバハマパラグアイ、バルバドス、ブラジル、ベネズエラベリーズ、ペルー、ボリビアホンジュラス、メキシコ

欧州

アイスランドアイルランドアゼルバイジャンアルバニアアルメニアアンドラ、イタリア、英国、ウクライナウズベキスタンエストニアオーストリア、オランダ、カザフスタン北マケドニアキプロスギリシャキルギスクロアチアコソボサンマリノジョージア、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキアスロベニアセルビアタジキスタンチェコデンマーク、ドイツ、ノルウェーバチカンハンガリーフィンランド、フランス、ブルガリアベラルーシ、ベルギー、ポーランドボスニア・ヘルツェゴビナポルトガル、マルタ、モナコモルドバモンテネグロラトビアリトアニアリヒテンシュタインルーマニアルクセンブルク、 ロシア

中東

アフガニスタンアラブ首長国連邦イスラエルイラク、イラン、オマーンカタールクウェートサウジアラビア、 トルコ、バーレーンパレスチナレバノン

アフリカ

アルジェリア、エジプト、エスワティニ、エチオピア、ガーナ、カーボベルデガボンカメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコモロコンゴ共和国コンゴ民主共和国コートジボワールサントメ・プリンシペザンビアシエラレオネジブチジンバブエスーダン赤道ギニアセネガルソマリア中央アフリカチュニジア、ナイジェリア、ナミビアボツワナマダガスカルマラウイ南アフリカ南スーダンモーリタニア、モロッコモーリシャスリビアリベリアルワンダレソト

 

 

②中国湖北省及び浙江省発行の旅券を所持する中国人

 

③香港発船舶ウエステルダム号に乗船していた外国人

 

(2)上陸拒否の例外

 上陸拒否対象国・地域からの入国であっても、以下の例外①、②、③、④にあたる場合は、特段の事情があるとして日本へ上陸をすることができます。

 なお、防疫上の観点から、入国・再入国に当たっては、原則として、追加的な防疫措置が必要となる点には注意が必要です。具体的には、医療機関において滞在先の国・地域を出国する前72時間以内にCOVID-19(新型コロナウイルス)に関する検査を受けて「陰性」であることを証明する検査証明を取得する必要があることに加えて、下記が必要になります。

 ・新規入国しようとする外国人の場合:入国目的等に応じて、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において査証の発給

 ・8月31日までに再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国した外国人の場合:滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館において再入国関連書類提出確認書の交付

・9月1日以降に再入国許可により出国する外国人の場合:出入国在留管理庁において出国前に受理書の交付を受けること

 

ア 例外①:8月31日までに再入国許可(みなし再入国許可を含む。)により出国した外国人であって、滞在先の国・地域の日本国大使館・総領事館が交付した再入国関連書類提出確認書を所持する者

  

イ 例外②:9月1日以降に再入国許可により出国した外国人であって、出国前に出入国在留管理庁が交付した受理書を所持する者

 本件措置により再入国を希望する場合は,日本出国前に,追加的な防疫措置に応じる旨を誓約し,出入国在留管理庁から受理書の交付を受ける必要があります。
【対象者】
在留カードの交付を受けて本邦に在留する外国人で,次のいずれかに該当し,上陸拒否の対象地域への渡航を予定している方
・有効な再入国許可を受けている方
・有効な旅券と在留カードを所持し,みなし再入国許可による出入国が可能な方
※「外交」又は「公用」の在留資格をお持ちの方は,本件措置の対象外です。

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本邦滞在中の在留資格保持者の再入国手続の流れ(法務省HPより引用)

 

ウ 例外③:「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」を利用する場合

「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」に沿って上陸申請する外国人については、特段の事情があるものとして上陸を許可されます。

「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置」とは、一般の国際的な往来とは別に、ビジネス上必要な人材等の出入国について例外的な枠を設置し、現行の水際措置(空港でのPCR 検査、14日間の公共交通機関不使用および自宅等(検疫所長が指定する場所)待機)を維持した上で、追加的な防疫措置を条件とする仕組みを試行することとしたものです。

 感染状況が落ち着いている国・地域を対象として協議・調整を開始しています(現時点で、ベトナム、タイ、豪州、ニュージーランドカンボジアシンガポール、韓国、中国、香港、マカオブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾)

 

 7月29日からタイ・ベトナムについては、入国後14日間の自宅等待機は維持しつつ、双方向の往来を再開する「レジデンストラック」の受付を開始しています。

 現状は、対象国・地域の国籍を有し、当該対象国・地域に居住する者であって、日本と当該対象国・地域の間の直行便(午前着便の利用が原則)を利用する者が対象となっています。

 

詳細は、下記外務省HPに記載があります。 

www.mofa.go.jp

 

エ 例外④:個別の事情に応じて特段の事情が認められる場合

 特に人道上配慮すべき事情があるときなどは、個別の事情に応じて特段の事情があるものとして再入国・入国を許可されます。。個別の事情に応じて特段の事情があるものとして新規入国・再入国を許可することのある具体的な事例は下記のとおり、法務省HPにより公開されています。 

 

新規入国する外国人であって以下に該当する者
・ 日本人・永住者の配偶者又は子
・ 定住者の配偶者又は子で,日本に家族が滞在しており,家族が分離された状態
にあるもの
・ 「教育」又は「教授」の在留資格を取得する外国人で,所属又は所属予定の教育
機関に欠員が生じており,その補充がないと当該教育機関の教育活動の実施が困
難となるなどの事情を解消するために入国の必要があるもの
・ 「医療」の在留資格を取得する外国人で,医療体制の充実・強化に資するもの

 

※個別の事情に関しては、日本への入国の際空港で書類で証明する必要があり、下記具体例に該当すれば基本的には特段の事情が認められますが、必ず上陸許可されるものではなく、具体的には日本入国の際の空港での審査で決定されます。

※「特段の事情」があるとされ、入国・再入国が認められる場合についても、9月1日以降の入国・再入国については、感染拡大防止等の観点から、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得(再入国者のみ)、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)が必要となる点に注意が必要です。

 

2.在留資格を有する外国人の再入国における必要な手続・書類等について

 在留資格を有する外国人の再入国に際しては、追加的な防疫措置(在外公館が発給する再入国関連書類提出確認書の取得(再入国者のみ)、出国前72時間以内に実施した検査による新型コロナウイルスに「陰性」であることの検査証明の取得)として、下記2点の書類が必要となります。

①居住国に所在する日本国大使館/総領事館において「再入国関連書類提出確認書」の発給を受けるとともに、

②出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明

 

(1)出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のCOVID-19に関する検査証明についての詳細

※原則は、外務省HPに公表されているhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078393.docx

フォーマット(Word)を使用して現地医療機関が記入し、医師が署名又は押印したもの

※検査証明は、日本に到着後、原本又はその写しを、入国審査官に対し、再入国関連書類提出確認書とともに提出します。

※お住まいの国で、無症状の方への検査を行わない方針をとっている場合には、検査結果を入手できる国・地域に一旦赴き、そこで出国(搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内のPCR検査証明を取得が必要となります。

※上記所定のフォーマットによる検査証明発行に対応する医療機関がない場合には、下記のような任意の様式でも可能だが、審査に時間がかかることがあることがあります。

ただし、任意の様式の場合は、所定フォーマットと同内容が記載されていることが必要で、具体的には、下記全項目が英語で記載されたものに限ります。

①人定事項(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)、

②COVID-19の検査証明内容(検査手法(所定のフォーマットに記載されている採取検体、検査法に限る)、検査結果、検体接種日時、検査結果決定年月日、検査証明交付年月日)、

医療機関等の情報(医療機関名(又は医師名)、医療機関住所、医療機関印影(又は医師の署名))

 

※日本に入国・再入国することについての緊急性が高いと認められる場合は,出国前検査証明の取得は必要ありません。この場合,査証又は再入国関連書類提出確認書の申請に当たって、日本国大使館・総領事館において,緊急に日本に入国・再入国する必要がある旨を申し出るとともに緊急性を疎明する書類を提出する必要があります。
 緊急性が高いと認められる具体的な事例には以下のようなものがあります。
○ 日本の医療機関での手術等の治療(その再検査を含む。)や出産のために,緊急に日本に入国・再入国する必要がある。
(疎明する書類の例:緊急に渡航する必要があることを示す医師作成の診断書など)
○ 日本に居住する重篤な状態にある親族を見舞うため又は死亡した親族の葬儀に参列するために,緊急に日本に入国・再入国する必要がある。
(疎明する書類の例:重篤な状態にあることを示す医師作成の診断書,死亡証明書,対象者との親族関係を示す公的文書など)

 

(2)「再入国関連書類提出確認書」についての手続き

 「再入国関連必要書類提出確認書」については、現在住んでいる国に所在する日本の在外公館において、以下の書類を持参の上、交付申請をすることができます。申請受付は2020年7月29日より開始されています。なお、手数料はかかりません。

(注)確認書は申請日には発給されないため注意が必要です。

<持参必要書類>

①旅券(有効な再入国許可(みなし再入国許可を含む)が貼付されているもの)

在留カード

③交付申請書(PDF)https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078392.pdf

 

 ※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。