5月25日、安倍晋三首相はついに、首都圏と北海道で続いていた新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言を解除すると表明しました。これで4月7日に最初に出された同宣言が、約1カ月半ぶりに全面解除となりました。
しかし、5月27日現在、依然として、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置については継続されています。また、現在、よく企業からも現在外国にいる外国人を日本に呼んで就労させたいがコロナでどうなのかという相談もよく受けます。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策での日本への入国制限措置(5月27日現在)について語ります。
※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。
日本への入国制限措置については、法務省(出入国在留管理庁)と外務省の二つの機関で対策をしています。
法務省(出入国在留管理庁)では上陸拒否制限という措置をしており、
外務省では既に発給された査証の効力停止や査証免除措置の停止という措置をしています。
まず、法務省(出入国在留管理庁)では上陸拒否制限という措置についてです。
【上陸拒否制限(法務省HP参照)】
入管法第5条1項14号に基づき、以下に該当する外国人は、当分の間、特段の事情がない限り、上陸拒否の対象となっています。
(1)日本上陸前14日以内に以下の地域に滞在歴のある者
上陸拒否対象地域を給油や乗り継ぎ目的で経由(経由地での入国の有無は問わない)した後に本邦に到着する場合も、原則、上陸拒否の対象となります。また、査証制限措置(既に発給された査証の効力停止及び査証免除措置の停止)が取られていない国・地域の査証免除対象者または停止されていない有効な査証を持つ者が、上陸拒否対象国・地域以外から、拒否対象国・地域を経由して日本へ到着する場合にも,同様に原則上陸拒否となります。
・アジア:インド,インドネシア,韓国,シンガポール,タイ,台湾,中国,パキスタン,バングラデシュ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア,モルディブ
・北米:カナダ,米国
・中南米:アルゼンチン,アンティグア・バーブーダ,ウルグアイ,エクアドル,エルサルバドル,コロンビア,セントクリストファー・ネービス,チリ,ドミニカ共和国,ドミニカ国,パナマ,バハマ,バルバドス,ブラジル,ペルー,ボリビア,ホンジュラス,メキシコ
・欧州:アイスランド,アイルランド,アゼルバイジャン,アルバニア,アルメニア,アンドラ,イタリア,英国,ウクライナ,エストニア,オーストリア,オランダ,カザフスタン,北マケドニア,キプロス,ギリシャ,キルギス,クロアチア,コソボ,サンマリノ,スイス,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,セルビア,タジキスタン,チェコ,デンマーク,ドイツ,ノルウェー,バチカン,ハンガリー,フィンランド,フランス,ブルガリア,ベラルーシ,ベルギー,ポーランド,ボスニア・ヘルツェゴビナ,ポルトガル,マルタ,モナコ,モルドバ,モンテネグロ,ラトビア,リトアニア,リヒテンシュタイン,ルーマニア,ルクセンブルク, ロシア
・中東:アフガニスタン,アラブ首長国連邦,イスラエル,イラン,オマーン,カタール,クウェート,サウジアラビア, トルコ,バーレーン
・アフリカ:エジプト,ガーナ,カーボベルデ,ガボン,ギニア,ギニアビサウ,コンゴ民主共和国,コートジボワール,サントメ・プリンシペ,ジブチ, 赤道ギニア,南アフリカ,モロッコ,モーリシャス
(3)香港発船舶ウエステルダム号に乗船していた外国人
(注)永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は定住者の在留資格を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人の配偶者又は日本人の子を含む。以下同じ。)が再入国する場合は,以下のとおり,再入国許可により出国した日及び滞在歴のある地域により,特段の事情の有無が判断されます。原則,特段の事情のある方は,上陸拒否対象地域からであっても入国が許可されます。
①4月2日までに再入国許可により出国した場合:原則として,特段の事情があるものとされます。
②4月3日から4月28日までの間に再入国許可により出国した場合:上陸拒否の対象地域のうち,4月29日から追加された以下の14か国,5月16日から新たに追加された以下の13か国又は5月27日から新たに追加された以下の11か国に滞在歴があっても,原則として,特段の事情があるものとされます。
(4月29日から追加された14か国)
アラブ首長国連邦,アンティグア・バーブーダ,ウクライナ,オマーン,カタール,クウェート,サウジアラビア,ジブチ,セントクリストファー・ネービス,ドミニカ共和国,バルバドス,ベラルーシ,ペルー,ロシア
(5月16日から新たに追加された13か国)
アゼルバイジャン,ウルグアイ,カザフスタン,カーボベルデ,ガボン,ギニアビサウ,コロンビア,サントメ・プリンシペ,赤道ギニア,バハマ,ホンジュラス,メキシコ,モルディブ
(5月27日から新たに追加された11か国)
アフガニスタン,アルゼンチン,インド,エルサルバドル,ガーナ,ギニア,キルギス,タジキスタン,パキスタン,バングラデシュ,南アフリカ
その他の上陸拒否対象地域(上記2. 記載以外の73か国・地域)にも滞在歴があるときは,原則として,特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
③4月29日から5月15日までの間に再入国許可により出国した場合
上陸拒否の対象地域のうち,上記の5月16日から新たに追加された13か国又は5月27日から新たに追加された11か国に滞在歴があっても,原則として,特段の事情があるものとされます。
その他の上陸拒否対象地域(5月16日に新たに追加された13か国又は5月27日から新たに追加された11か国以外の87か国)にも滞在歴があるときは,原則として,特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
④5月16日から5月26日までの間に再入国許可により出国した場合
上陸拒否の対象地域のうち,上記の5月27日から新たに追加された11か国に滞在歴があっても,原則として,特段の事情があるものとされます。
その他の上陸拒否対象地域(5月27日に新たに追加された11か国以外の100か国)にも滞在歴があるときは,原則として,特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
⑤5月27日以降に再入国許可により出国した場合
原則として,特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります。
【上陸拒否制限についての要約】
原則:外国人は特段の事情がない限り、上記上陸制限拒否国からの日本への入国不可です。たとえ在留カードを保有する外国人でも、日本への入国不可です。
なお、日本国籍者は対象外です。
例外:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等又は定住者の在留資格を有する外国人(これらの在留資格を有さない日本人の配偶者又は日本人の子を含む。以下同じ。)が再入国する場合は、再入国許可により出国した日及び滞在歴のある地域により、特段の事情の有無が判断されます。
次に、外務省での既に発給された査証の効力停止や査証免除措置の停止という措置についてです。
【既に発給された査証の効力停止について(外務省HP参照)】
以下に該当する査証は現在使用できません。
この措置は6月末日までの間実施されます(右期間は更新されることがあります。)。
①中国(香港及びマカオを含む)及び韓国に所在する日本国大使館又は総領事館で,2020年3月8日までに発給された一次・数次査証
②以下の国に所在する日本国大使館又は総領事館で2020年3月20日までに発給された一次・数次査証
・欧州:アイスランド,アイルランド,アンドラ,イタリア,英国,エストニア,オーストリア,オランダ,キプロス,ギリシャ,クロアチア,サンマリノ,スイス,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,チェコ,デンマーク,ドイツ,ノルウェー,バチカン,ハンガリー,フィンランド,フランス,ブルガリア,ベルギー,ポーランド,ポルトガル,マルタ,モナコ,ラトビア,リトアニア,リヒテンシュタイン,ルーマニア,ルクセンブルク
・中東:イラン
・アフリカ:エジプト
③以下の国に所在する日本国大使館又は総領事館で2020年3月27日までに発給された一次・数次査証
・アジア:インドネシア(注),シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,マレーシア
(注)査証免除登録証の効力も停止
・アフリカ:コンゴ民主共和国
④以下の国に所在する又は以下の国・地域を兼轄する日本国大使館又は総領事館で2020年4月2日までに発給された一次・数次査証
・アジア:インド,カンボジア,スリランカ,ネパール,パキスタン,バングラデシュ,東ティモール,ブータン,ミャンマー,モルディブ,モンゴル,ラオス
・大洋州:キリバス,クック諸島,サモア,ソロモン諸島,ツバル,トンガ,ナウル,ニウエ,バヌアツ,パプアニューギニア,パラオ,フィジー,マーシャル,ミクロネシア
・中南米:アルゼンチン,アンティグア・バーブーダ,ウルグアイ,エルサルバドル,ガイアナ,キューバ,グアテマラ,グレナダ,コスタリカ,コロンビア,ジャマイカ,スリナム,セントクリストファー・ネービス,セントビンセントおよびグレナディーン諸島,セントルシア,ドミニカ共和国,トリニダード・トバゴ,ニカラグア,ハイチ,バハマ,パラグアイ,バルバドス,ベネズエラ,ベリーズ,ペルー,ホンジュラス,メキシコ
・欧州:アゼルバイジャン,ウクライナ,ウズベキスタン,カザフスタン,キルギス,ジョージア,タジキスタン,トルクメニスタン,ベラルーシ,ロシア
・中東:アフガニスタン,アラブ首長国連邦(注),イエメン,イラク,オマーン,クウェート,サウジアラビア,シリア,パレスチナ,ヨルダン,レバノン
(注)査証免除登録証の効力も停止
・アフリカ:アルジェリア,アンゴラ ,ウガンダ ,エスワティニ,エチオピア ,エリトリア ,ガーナ,カーボベルデ,ガボン,カメルーン,ガンビア,ギニア,ギニアビサウ ,ケニア,コモロ,コンゴ共和国,サントメ・プリンシペ,ザンビア,シエラレオネ,ジブチ,ジンバブエ,スーダン,セーシェル,赤道ギニア,セネガル,ソマリア,タンザニア,チャド,中央アフリカ,チュニジア,トーゴ,ナイジェリア,ナミビア,ニジェール,ブルキナファソ,ブルンジ,ベナン,ボツワナ,マダガスカル,マラウイ,マリ,南アフリカ,南スーダン,モザンビーク,モーリタニア,リビア,リベリア,ルワンダ,レソト
【査証免除措置の停止(外務省HP参照)】
以下の国・地域に対する査証免除措置が一時的に停止され、該当する方は、日本への渡航を希望する場合、新たに査証の申請を行う必要があります。
この措置は6月末日までの間実施されます(右期間は更新されることがあります。)。
(1)査証免除措置が停止された国及び地域
・アジア:インド,インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,韓国,パキスタン,バングラデシュ,ブルネイ,ベトナム,香港,マカオ,マレーシア,ミャンマー,モンゴル,ラオス
・大洋州:サモア,ソロモン諸島,ナウル,パプアニューギニア,パラオ
・中南米:アルゼンチン,ウルグアイ,エルサルバドル,グアテマラ,コスタリカ,コロンビア,スリナム,ドミニカ共和国,バハマ,パラグアイ,バルバドス,ペルー,ホンジュラス,メキシコ
・欧州:アイスランド,アイルランド,アゼルバイジャン,アンドラ,イタリア,ウクライナ,ウズベキスタン,英国,エストニア,オーストリア,オランダ,カザフスタン,キプロス,ギリシャ,クロアチア,サンマリノ,ジョージア,スイス,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,チェコ,デンマーク,ドイツ,トルクメニスタン,ノルウェー,バチカン,ハンガリー,フィンランド,フランス,ブルガリア,ベルギー,ポーランド,ポルトガル,マルタ,モナコ,ラトビア,リトアニア,リヒテンシュタイン,ルーマニア,ルクセンブルク
・中東:アラブ首長国連邦,イスラエル,イラン,オマーン,カタール
(2)インドネシア,韓国,シンガポール,タイ,中国,パプアニューギニア,フィリピン,ブルネイ,ベトナム,ペルー,香港,マレーシア,メキシコ,ロシアが発行したAPEC・ビジネス・トラベル・カードの査証免除の効力も停止しています。
上記のとおり、現在は、ほとんどの国が上陸拒否とされており、査証免除措置の停止や査証効力の停止が行われているので、外国人の方が日本へ入国することは難しく、入国制限措置が解除されるのを待つしかない状態です。
また、ほとんどの国が上陸拒否とされており、現在日本から出国すると基本的には上陸拒否に該当することになるので、日本にいる在留カードを持つ外国人の方は、日本に再入国できなくなるのを防ぐため、海外への出国は控えたほうがいいかと思います。
※注:日本への入国制限措置は日々更新がされていますので、具体的な事案の判断については、法務省HP・外務省HPで最新の情報をご確認ください。