日本政府観光局(JNTO)が公表している訪日外国人の年別統計データによると、
2019年には、累計 31,882,049人もの外国人が日本を訪れています。
外国人が日本から観光へ来る場合の在留資格は、短期滞在となります。一般的には、観光ビザを呼ばれているものですが、実は観光という在留資格はなく、短期滞在という在留資格です。
日本への入国の際、パスポートに下記のような上陸許可が貼られます。
今回は、短期滞在という在留資格について語ります。
1.短期滞在の査証について
外国人が観光で日本へ入国する場合、査証が必要な国籍と査証が不要な国籍があります。中国人による爆買いというキーワードが一時期流行しましたが、中国は査証免除国とはなっていないため、中国人の場合、日本へ入国するには、あらかじめ査証取得の必要があります。
2020年5月の時点で外務省は68の国・地域に対して査証免除措置を実施しています。査証免除となっていない国は、中国、ロシア、インド、フィリピン、ベトナム等です。
査証免除国の外国人は、商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的とする場合には、日本への入国に際して査証を取得する必要はありません。ただし、日本で報酬を受ける活動に従事する場合、又はそれぞれ国毎に決められた短期滞在の期間を超えて滞在する場合にはビザを取得する必要があります。
上陸許可の際に付与される短期滞在の在留期間は、インドネシア、タイ及びブルネイは「15日」、アラブ首長国連邦は「30日」、その他のビザ免除国・地域については「90日」となります。
なお、メキシコ、アイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、リヒテンシュタイン、英国の旅券保持者で、90日を超えて滞在したい場合には、査証免除取極により、在留期間満了前に地方出入国在留において在留期間更新手続きを行うことで、最大6かまでの滞在が可能です。
査証免除協定は外交関係等の事情により変更になる場合があるため、最新の査証免除国等については、外務省下記HPをご参照ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html
2.短期滞在で可能な活動内容
短期滞在では、報酬を得る就労活動はできません。
短期滞在で可能な活動内容は具体的には下記のとおりです。
① 観光、娯楽、参詣、通過の目的での滞在
② 保養、病気治療の目的での滞在
※入院して治療を受ける外国人患者又はその同行者は、滞在期間が90日以内の場合は「短期滞在」、90日を超える場合は「特定活動(6か月)」
③競技会、コンテスト等へのアマチュアとしての参加
④友人、知人、親族などの訪問、親善訪問、冠婚葬祭などへの出席
⑤見学、視察などの目的での滞在
⑥教育機関、企業などの行う講習、説明会などへの参加
⑦ 報酬を受けないで行う講義、講演等
⑧会議その他会合への参加
※日本法人の経営者に就任し、かつ日本法人から報酬が支払われる場合は、その者が当該事業の経営等に関する会議、業務連絡等で短期間来日するときであっても、「経営・管理」の在留資格に該当し、「短期滞在」には該当しません。
⑨日本に出張して行う業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査その他のいわゆる短期商用
※外国に職業活動の基盤を有することを前提に、当該業務が当該外国企業の外国における業務の一環として行われるものであることが必要です。
⑩日本を訪れる国公賓、スポーツ選手などに同行して行う取材活動等、本国での取材活動に付随した一時的用務としての報道、取材活動
⑪日本の大学等の受験、外国法事務弁護士となるための承認を受ける等の手続
⑫報酬を受けずに外国の大学生等が学業等の一環として日本の公私の期間に受け入れられて実習を行う90日以内の活動(90日以内の無報酬でのインターンシップ)
⑬その他日本で収入を伴う事業を運営し、又は報酬を得る活動をすることのない短期間の滞在
3.短期滞在での在留期間更新について
短期滞在の場合の在留期間の更新は、人道上真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別の事情があることが求められます。
つまり、病気で入院して在留期限までに出国が不可能などの特別の事情のない限り、在留期間の更新は認められないのが通常です。
そのため、在留期間後、まだ外国人の方が日本で観光したいとしても、一度日本を出国し、再度日本に入国する必要があります。
4.短期滞在から他の在留資格への変更について
短期滞在からの他の在留資格変更については、やむを得ない特別の事情がなければ許可がされません。
そのため、基本的には、短期滞在からの他の在留資格変更は不可能です。