入管法に詳しい某行政書士の雑記ブログ

入管法に詳しい行政書士が気ままに語ります。

~資格外活動許可申請について~外国人留学生がアルバイトをする場合

 現在、外国人留学生をアルバイトとして採用する店舗、会社が急増しており、よく飲食店でアルバイトをする外国人を目にする機会も多くなっています。

 外国人留学生がアルバイトをするためには資格外活動許可が必要で、あらかじめ出入国在留管理局へ資格外活動許可申請をする必要があります。

 

今回は、外国人留学生がアルバイトをする場合の入管法上の手続きである資格外活動許可申請について語ります。

 なお、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人も同様です。

 

1.外国人留学生の持つ「留学」という在留資格について

 留学生の場合、在留資格は原則として「留学」をお持ちだと思いますが、在留資格「留学」では、就労はできません。

 そのため、留学生がアルバイトをするには、あらかじめ資格外活動許可を得る必要があります。資格外活動が許可される前に働き始めることは不法就労になります。

 したがって、留学生の場合、必ず資格外活動許可を取得してから、アルバイトを始める必要があります。

 

2.資格外活動許可申請の概要

(1)資格外活動許可申請とは

 日本において行う活動に応じて定められた在留資格を付与されている外国人は、その在留資格に対応する活動以外の活動で「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」(就労活動)を行う場合には、あらかじめ資格外活動の許可を受ける必要があります。

 

(2)必要書類

 ①資格外活動許可申請

 ②在留カード

 ③パスポート

 ④当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類
  ※アルバイト先がまだ未定の場合は不要です。

 

(3)申請ができる人

 ①本人

 ②本人の法定代理人(16歳未満の子供の申請における両親等)

 ③届出済行政書士

 

(4)資格外活動許可をする外国人の主な具体例

 ①「留学」の在留資格を持つ外国人でアルバイトを始める場合

 ②「家族滞在」の在留資格を持つ外国人でアルバイトを始める場合

 

(5)資格外活動許可申請の申請先

 住居地を管轄する地方出入国在留管理局

 

(6)入管へ払う手数料:無料

 

(7)東京入管での審査期間

 申請をしてから約2~3週間で、審査終了の通知ハガキが送られてくるので、そのハガキ・在留カード・パスポートをもって、結果受け取りへ入管へ行くことになります。

 

(8)入管での結果受取

 結果受け取りの際、在留カードの裏面に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」とのスタンプが押されるていることと、パスポートに資格外活動許可の証印シールが貼られていることの2点を確認するようにしましょう。

 

3.資格外活動許可の確認方法:何を見れば確認できるのか?

在留カード

 在留カードの裏面に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」とのスタンプが押されています。

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資格外活動許可:在留カード裏面(出入国在留管理庁HPより引用)

②パスポート

パスポートに資格外活動許可の証印シールが貼られます。

 

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資格外活動許可:証印シール(出入国在留管理庁HPより引用)

4.資格外活動許可について

 資格外活動許可を得て行うことができるアルバイトには、以下の制限があります。

(1)労働時間の制限

 ・1週について28時間以内であること

 ※1週について28時間以内とはどの曜日から起算した場合でも常に1週につき28時間以内であることに注意が必要です。

 ※「留学」の場合、在籍する教育機関学則で定める長期休業期間にあるときは、1日について8時間以内で可能です。

※「留学」の場合、休学中にはアルバイトをすることはできません。

 

(2)労働場所の制限

 資格外活動許可は、風俗営業等の従事を除くとされているので、風俗営業や風俗関連営業が行われる場所でのアルバイトは禁じられています。また、スナック、ナイトクラブ、客の接待をして飲食させるバー・喫茶店などでは皿洗いや掃除をすることも禁止されているので注意が必要です。

 

 5.資格外活動許可に関する違反について

(1)雇用する企業側のリスク

 資格外活動許可がないまま働かせてしまうと、企業側は不法就労助長罪として3年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその両方を受ける可能性があるので、細心の注意が必要です。

(2)留学生側のリスク

 留学生がアルバイトをする際、資格外活動許可を得ずにアルバイトをしたり、週28時間以内の就労制限違反や風俗営業のお店で働くなどをしたりした場合は、不法就労であり、在留状況不良の理由で、在留期間更新不許可や就職の際の在留資格変更の不許可となったり、退去強制事由となったりする可能性があります。